日本古来の毛鉤の伝統的なパターンでは、毛鉤の胴にゼンマイの綿毛を使うものがある。実はこれはものすごく合理的な使い方なのです。ゼンマイの綿毛は取った時はやや黄色がかった白色ですが、使っているうちに時とともに次第に黒ずんでくる。これがいいのですね。
魚は、その時期時期にいる虫を食べるわけですが、春先に出る虫は白っぽいものが多いのです。それが夏に近づくにつれて虫の色も濃い色のものが増えてくるんで、自動的に毛鉤の色が虫の色に合わせて変わってくれるというわけなんです。
昔の人が、そんなこと考えて毛鉤を作っていたのかどうかはわかりませんけども。